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シグマsa-1に装着したシグマZパンテル135ミリF2.8。sa-1はシャッター音が大きいけれど使い易いカメラである。そのうちにワインダーをどこかで見つけたいと思っている。
※写真をクリックすると大きなサイズでご覧いただけます。

パンテル135ミリF2.8には前期のYSオートマウントと後期の固定マウントがあるが、光学系は同じである。
 

レンズ基部の絞りリングと被写界深度目盛。絞りはF22から一気にF64まで絞られる。ダイレクト測光でないAEカメラではプラス側へ露光補正が必要だ。
シグマのパンテル135ミリF2.8は1975年に発表され、1980年までカタログにのっていた製品である。この6年間という販売期間は、矢継早やに製品展開をしてゆくことの多いレンズ専業メーカーのものとしてはロングセラーの部類に入る。シグマのロングセラー製品としてはミニワイド28ミリF2.8というものもあるが、どちらもスペック的にはごく当り前のレンズだ。ズームレンズ開発競争の陰で、ひっそりと売り続けられていたレンズ達である。しかしシグマはこのような目立たないスペックのレンズにも胡椒をひと振りして、マニア好みの製品に仕立てることが多い。28ミリF2.8の広角レンズにしても周辺光量低下のごく少ないノン・ビイネティングあるいは、H.L.ワイドという製品を発表している。このパンテル135ミリF2.8にも胡椒のひと振りが隠されていてなかなか興味深い。それはレンズ絞りをF64という小絞りまで設定していることである。通常の135ミリならF22、あるいはせいぜいF32というところだが、それより2段大きい絞り値まで絞ることができるのだ。それでどんなことができるかというと、製品名のように一種のパンフォーカス撮影が可能になるのである。
 パンフォーカス、具体的には手前から遠くの被写体までくっきりとピントが合っている状態のことだ。オーソン・ウェルズの映画、「市民ケーン」にはこの手法が使われていて、よくパンフォーカスの例として取り上げられる。私も二十才代に深夜、白黒テレビの小さな画面で眠い目をこすりながら観た覚えがある。この場合は広角レンズを使い、照明の光量を上げて絞り込み、人物のクローズアップと背景をともに刻明に描写するものだ。写真ではビル・ブラントのヌード作品などが有名だ。どちらも被写界深度が大きく、ボケの量も少ない広角レンズを使ってのパンフォーカス撮影だが、パンテルは望遠でパンフォーカス撮影をしようというレンズである。望遠レンズの効果としては被写体前後の遠近感を少なくする圧縮効果というのがあって、このパンテルでは圧縮効果にパンフォ−カス描写をプラスすることができるわけだ。

後期型のパンテル135ミリにはピントリングにパン・フォーカスのロゴがつけられている。ちなみにこのレンズの購入価格は3千8百円だった。
 実際にパンテルのピントリングの被写界深度指標をみるとピントを8メートルに設定した場合、F64で無限遠から4メートルぐらいまでピントが合う計算になっている。135ミリレンズで4メートルの距離というと、人物の半身像がほぼ納まる。背景に富士山を置くとすると、富士山から人物の半身像までピントが合って写ることになる。たとえればこのような撮影も可能になるということだ。もしかすると不思議な遠近感の写真が撮れるのではないかと考えたりする。しかしこのレンズを手に入れてからずいぶん久しいのだが、まだ面白く写りそうなシチュエーションに巡りあえないでいるのが実状で、シグマパンテル135ミリは永年の宿題になっている。このパンテルにはほかに200ミリF3.5と300ミリF5.6があり、どれも最小絞りがF64となっている。
 パンテルが気になったのは、先だってもうひとつのパンフォーカス望遠レンズを手にする機会があったからだ。コシナ製のフォクトレンダー・カラーヘリアー75ミリF2.5を母体にした試作モデルであった。こちらは何と最小絞りがF128までとなっている。ミニチュア模型撮影用につくられたということで、最小絞りで絞り穴の径は1ミリにも満たないようなピンホール状態だ。こうなると回折の影響が強くなってピントも甘くなるだろうが、被写界深度はとても大きく、F128では無限遠から1メートルまで深度内に収まる。ミニチュア撮影の場合など、背景との間隔を上手にとれば、実物の撮影に似た感じを出すことができそうだ。デジタル画像だと簡単に背景との合成もできるが、アナログの一発撮りの達成感はまた別物と思う。さらに撮像素子サイズの小さなデジタルカメラでは、パンテルのような遠近感の喪失した望遠パンフォーカス描写が日常化しているけれど、もやもやとうごめく粒子のあつまりをベースにした銀塩写真のパンフォーカスも捨て難い魅力をもっていて、いつか納得のゆく望遠パンフォーカスの写真を撮りたいと思う。
「花子さん」 ペンタLX F64 AE(1/30秒くらい) RHP
東京、井ノ頭動物園の象の花子さんは来園して50年を迎えた。手前のお母さんまで5メートル弱、花子さんまでは15メ−トルほど。写真の出来はともかく、一般のレンズではどちらかがアウトフォーカスになってしまう。ただ回折と手ブレでピントは少々甘い。

「落陽」 ペンタLX F5.6 AE RDP
普通に使えば、当り前ながらシャープな普通の望遠レンズだ。

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