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私自身もキヤノン一眼レフの本格的な便用はキヤノンF-1からだが、それ以前にキヤノンFTQLとFLレンズをしばらく使っていたことがある。ボディは当時流行のブラックでレンズはFL50ミリF1.8の前期タイプとFL100ミリF3.5の2本だ。キヤノンFTQLのボディは現在では若干大きさを感じさせるけれど、当時としてはごく普通のサイズである。巻き上げのトルク感は均一で、ニコンFなどよりスムーズだ。シャッターの感触などはすこし残響音はあるが前述のように滑らかである。絞り込み式の測光はイラ立つことはあったが、全体に軽快な作動のカメラであることはすぐに理解できた。
もうひとつカメラ好きとして感じたことが、FLレンズ鏡胴の独特の質感とデザインの印象だった。これは好みの問題もあるので軽々に言うことは難しいが、私の場合、FLレンズのデザインを美しいと思った。少なくとも凝ったつくりの鏡胴であることは確かだろう。全体に艶のある黒色の塗りで、絞りリングとマウントリングが梨地の銀色だ。文字と数字は白とオレンジ色で印刻され、全体に品のある華やぎといったものを感じさせる。凝ったつくりと書いたのは、黒の鏡胴には非常に細かな機械加工の挽き目を残して、その上に塗料をのせているからだ。そのために、単純なペイントの艶とは異なる質感の表現になっている。鏡胴に軽く爪を走らせると、表面の施条の波うちを感じることができる。少々フェティッシュな話になってしまうが、ライカのM2、M3の時代のクロームメッキのサテンのような手触りの魅力を語ることと似ていなくもない。塗りのFTQLブラックボディと組み合わせると、目立たなくするための黒色のカメラが逆に随分と派手になる。
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